融資先選別の流れは止まらない。
経営コンサルタントコラム
2014年5月24日号
回はお金の貸し借りに関する世の流れと気を付けるポイントについてお話したいと思います。
5月20日付の日本経済新聞に「中小融資の保証縮小政府検討、全額から原則8割に」という記事がありました。ご覧になられた方もいらっしゃることでしょう。
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中小融資の保証縮小 政府検討、全額から原則8割に
2014/5/20 2:05日本経済新聞 電子版
政府は中小企業の融資が焦げ付いた場合に国などが肩代わりする公的信用保証を、段階的
に縮小する検討に入った。2008年秋のリーマン・ショック後に特例として認めた全額保証
を縮小するのが柱で、約100業種を対象に保証率を危機前の原則だった8割に戻すことを
議論する。一部業種は保証率を8割からさらに下げる案もある。信用保証は財政収支が
悪化しており、国と民間の負担割合を見直す。
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これまでリーマンショックの影響をカバーするため、国策として一部業種については保証率を100%としてきたわけですが、これを原則の8割に戻す、というお話です。
表向き金融機関の目利き力、経営支援を促すなどと大臣は仰ってますが、真のところは財政収支の悪化が理由なのでしょう。
何せ12年度は3500億円の収支赤字だそうです。
つまり、返せなくなったところがたくさんあるということですね。
集めた保証料だけでは回らないので、足らずは国が補てんすることになります。
それが3500億円。
財務省からすればなんとかしたい。元に戻したい。赤字の原因を解消したい。
アベノミクスで景況感も回復してきたし、自民党は暫く安泰だし、やるなら「今でしょう」というところなのかもしれません。
100%保証なら貸す側は取りっぱぐれが無いですから、銀行は無リスクで貸せますよね。最終的に国が保証してくれるんですから。
これが原則にもどるわけです。保証率は80%。2割は金融機関がリスクを負います。
つまりはです、銀行は簡単に貸さなくなる、ということですね。
景気が良くなるまでは無理にでもお金を流し、良くなってきたら締める。これ道理。
しかし良くなってきた、の判断は中小企業個別の事情に配慮されるわけではありません。
乗り遅れた企業は荒波に翻弄されることになります。
さらには、この2月から施行された、連帯保証に対する新たな取組みも何がしか影響を与えていくでしょう。新しい取り組みは、一面的には連帯保証を求めない、起業を促す効果があるやに見えますが、一方では、簡単に貸せなくなるという側面も秘めています。
また、実質返済するのが不可能な融資先については、転廃業を促す云々の話も、霞ヶ関周辺から頻繁にアナウンスされています。近い将来、債権者である銀行に、再生できると思われないと、転廃業を促される(=リスケに応じてもらえない)ことになるでしょう。
今、銀行は業績のよい中小企業にプロパー(保証協会無し)で貸します、貸します、と積極的に営業されているようです。保証付だから貸します、ということは積極的にやっていないように感じます。
また、保証付でないと貸せないような先と、そんなものがなくても貸したい先とを既に選別し始めているように見えます。再生が難しい会社や、近いうちに後継へバトンタッチする等お考えの方は、現在の借入金についてどうするか、考えを準備しておいた方がよいかもしれません。
池田
以下記事まとめ
・具体策は秋以降に詰め、15年から段階的に縮小したい考え。
・信用保証は都道府県などにある信用保証協会が中小企業から保証料をとり、それを元手として融資が焦げ付いた場合に返済を肩代わりする仕組み。
・信用保証協会が肩代わりした額は徴収した保証料を上回る状態が続き、12年度は3500億円の収支赤字だった。赤字分は国が財政支援している。
・信用保証の収支悪化が深刻なため、政府は業種によっては公的保証を原則の8割から引き下げることも検討する。
・足元では金融機関の収益は改善しており、貸出先の焦げ付きに備えて過去に積んだ貸倒引当金も不要となるほど。
・財務省はこうした財政支出を適切な水準に抑えたい考え。
・中小企業庁などは信用保証を縮小すればリスクを回避する金融機関が中小企業への融資を減らしかねないと懸念しているが、中小企業の債権を買い取る官民ファンドなどを育て、転廃業を円滑に進めたい考え。